恩師との別れ  〜リニューアル10周年 告白〜 後編

前編」でお話させていただきましたが、タイヤ1つ触る事も許されず、僕はツライ毎日を過ごしていました。最初の挨拶に立ち会っていただいた大阪のタイヤメーカー・Y部長さんが、お店に訪問いただいた時に「どうな?頑張ってるか?」と声をかけてくれました。事情を知ったY部長は
「晩御飯でも行くか」と誘ってくれて、タイヤSHOP近くの焼肉屋さんへ連れってくれました。

「俺はこっちの父親や。何でも相談してくればいい。そして、俺も乗りかかった船や。最後まで面倒みたる」と声かけてくれました。帰り際「またいつでも電話してくればいい。」と携帯番号を教えてくれました。

それ以降、お店での出来事や仕事の先行き等悩んだ時、Y部長に電話をかけさせていただくと、毎回「また、焼肉屋さんへ行こ」と近くの焼肉屋さんを誘ってくれて話を聞いてくれました。会計の時「僕がお願いして出て来ていただき話を聞いていただいたので、僕に払わさせてください」と言うと、毎回決まって

「一人前になった時に、俺にビールの一杯おごってくれ。それだけでいいから、その日を楽しみにしている」

と言ってくれました。僕はいつか必ず!と心に秘めていました。それでもお店では、掃除ばかりの日々で・・・月日が経ったある日、タイヤSHOPの専務から
「もう、和歌山に帰らんか?うちで預かっていても、これ以上(修行)先に進む事はないぞ」と言われました。僕はY部長と父母に相談して、和歌山へ帰る事になり、父の元で仕事を覚える事になりました。。。

このまま父の元で仕事を継ぐだけでは新たな事を出来ないと思ったので、和歌山のタイヤSHOPさんにお願いして、家業の定休日であった日曜日と祝日に無給でお手伝いをさせていただき、現場経験を積ませていただく事になりました。こちらのSHOPさんでは、タイヤ以外にも色んな作業経験と、カーSHOPとしてのノウハウをたくさん教えていただきました。平日は父の元で仕事をし、日曜・祝日は和歌山のタイヤSHOPさんで働かせていただく無休の毎日でしたが、仕事の出来る喜びで、しんどいと思った事はありませんでした。そして等々、ツジガイトタイヤからリニューアル「タイヤガーデン・ツジガイト」がOPENする事になりました。当店の店舗設計に関しては、父母ではなく僕に任させてくれました。

今から10年前の3月12日、タイヤガーデン・ツジガイトOPEN日は、おかげさまで大盛況でした。そんな中ご来店された一人の方が、大阪のY部長でした。僕が和歌山に戻ってきてから数回お会いした事ありましたが、大阪と和歌山で担当が外れたのと、開店準備等でバタバタしていたので随分お会いしていませんでした。まさかOPEN時に訪問いただけるとは夢にも思っていなかったので、Y部長から「開店おめでとう!」と強い握手と声をかけていただいた時は、人目を気にせずY部長の胸で泣いてしまいました。

Y部長:「やっとこの日がきたな。このお店はオマエの店や。父母も一緒だけど、これからタイヤガーデンツジガイトの看板を背負うのはオマエや。開店おめでとう」
と声をかけていただきました。そして僕はY部長に

僕:「Y部長、この日を迎えられたのでビールをおごらせて下さい。約束です。和歌山に来られている今夜、時間を空けてもらえませんか?」
とお願いをすると

Y部長:「そうやったな。けどまだ今夜じゃない。一年後や。今日スタートをきったばかりで、これから色んな山場があると思う。一年後には、また俺に何か相談したい事があるはず。だから一年後や。」

僕:「・・・ 分かりました。そしたら、一年後は絶対におごらせてくださいね。その時に、僕も良い(実績)報告できるように頑張りますんで」

と、Y部長に約束をしてもらいました。それから僕は毎日、田舎のタイヤ屋さんから脱却したトータルカーショップを目指し、昔からの父母についたお客様だけじゃなく、初めてご来店いただくお客様や自分を指示していただくお客様に来ていただけるよう頑張りました。

そして一年後。

リニューアル1周年記念セールイベントの準備を進め、仕事終わった後の夜にセールイベントのチラシをポスティングしている真っ最中に僕の携帯電話に、メーカー関係者の方から

メーカーさん:「よしきちゃん(僕)知ってるんかなぁ・・・Y部長さんの事。」

僕:「何ですか?・・・」

メーカーさん:「あっ、知らなかったのかぁ。お亡くなりになったんよ。病気だってねぇ・・・」

僕は頭の中が真っ白になり、信じられませんでした。もうすぐ1年を迎え、Y部長にやっと恩返しのビールをご馳走できる日が直ぐ目の前に迫っていた時に、そのセールチラシを配布している時に恩師の訃報を聞くとは。。。 Y部長を知る人の話では、1年以上前から病と闘っていたそうです。1年前に僕と「1年後にビールをおごってくれ」と約束してくれた時、どんな思いで1年後と言ってくれたんだろう・・・。

僕は結局、Y部長に恩返しを出来ませんでした。なので、天国から見てくれているだろうY部長さんに安心してもらえるよう、僕はこれからも努力していきます。

Y部長さん、本当に本当に有り難う御座いました。 m( __ __ )m

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このページは、YOSHIKIが2013年2月23日 14:29に書いたブログ記事です。

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